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良い宇宙人と悪い宇宙人の話地球編

NO12「図書館を作り語り部を消す」

  • まずニュースをおもしろおかしく話すのが職業の"語り部(かたりべ)"の連中が問題だ。
    やつらを消すことを考えなくちゃな。
    やつらが「地上には年をとらない不思議な人間がいる」としゃべるのが気にいらん。
    おれたちは人間に合わせてある程度の年で死ぬ演技までしなきゃならんのだ。
    たまにはその演技がばれることがあるぞ。
    だが、それまで得意げにしゃべりまくっている語り部がいるぞ。
    こいつらの存在はわれわれにとってとても危険だ。
    そうだ、図書館を作ればいいんだ。
    図書館は語り部がしゃべる話を記録文書に変えて保管するだろう。
    語り部から一方的に聞かされる話より、自分で好きな話を選んで見ることができる図書館のほうがずっと便利だぞ。
    図書館があれば、みんなそこに行くぞ。
    そうしたら"語り部"なんていうやつは職業として成り立っていかないぞ。
    やつらは毎日毎日自分の覚えていることをしゃべっているから過去のことをしっかり覚えているだけだ。
    もし話すのを止めたら10年もたてば覚えていることがあやふやになるぞ。
    30年もたてばほとんど忘れてしまうだろう。
    そうだ図書館がいい。
    はっきり何でも覚えている語り部さえいなくなったら最高だ!
    一般人の覚えていることなぞ、数世代もたったら実際にあった話でも、神話かおとぎ話だと思うぞ。
    あやふやでとるにたらない内容だと思われるぞ。
    そして語り部がいなくなったら図書館は破壊してしまえばいいんだ。
    燃やしてしまってもいいぞ。
    そうしたら図書館内にある文書はみんな消えるぞ。
    語り部もいなくなるし、おれたちの存在を示す記録文書が全て消えるぞ。
    図書館は世界中からいろんな情報を集められるように巨大なものがいいな。
    もちろんそんな情報の中におれたちの存在を示すものも含まれているはずだ。
    おれたちが消したいのはその情報なんだ。
    そんな巨大な図書館を作るにはまず巨大な帝国が要るな。
    大帝国なら豪華な図書館を作れるだろう。
    そうだ、まず人間に大帝国を作らそう。
    おれたちは退屈で退屈で死にそうなんだ。
    そうだその帝国の王様になって楽しもう。
    大帝国を作る時には戦争がつきものだ。
    ここでも派手な殺し合いが見られるぞ。
    うっしっし。
    おお、戦争ごっこは楽しいぞ。
    人間に殺し合いをさせよう。
    帝国間の戦争だ!
    結構大規模な戦いになってきたぞ。
    平和に暮らす人間なんて変化が無くてくそおもしろくもないぞ。
    殺し合いこそ楽しい楽しい最高のショーだ!!。
    もっともっと大規模に殺し合いをさせたいぞ。
    やった!
    帝国はできたし、又他の帝国を作らせて前の帝国の図書館は全て破壊したぞ。
    世界中の過去の極秘資料はほとんど消滅しただろう。
    中国では清の始皇帝なんかは図書館も作らずに国中の記録文書を集めさせてみんな燃やしたぞ。
    このことは焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)なんて最近の人間どもの学校の教科書にまで載っておるな。
    特にキリスト教ができた頃、われわれは大宗教を世界各地で作ったぞ。
    そのときどうしてもわれわれの秘密活動の一部が人間に目撃されぞ。
    目撃されただけならいいが、記録されてしまったな。
    それを目撃した人間どもは、こっそり紙に書いてしまっておいた連中がいるんだ。
    だがそうゆうものも図書館に集めさせ全部消滅させることができたのは大成功だったな。
    弓や槍の戦いには限界があるな。
    もう少し近代兵器を持たせよう。
    そうすれば盛大な虐殺シーンが楽しめるぞ。
    ほんの少し宗教内で自由な発想を押さえつけるのを止めさせよう。
    すぐに科学が発達して高性能な兵器ができるぞ。
    おお楽しくなってきた。
    でも科学を発達させると宇宙の探査器機が高性能になるのが問題だな。
    高性能の望遠鏡なんかを作られたら困るぞ。
    月でのおれたちの活動を目撃するやつが出てくる可能性があるな。
    どうしたらいいんだ?
    月の異常現象を見つけたやつの口を塞ぐ良い方法は無いか?
    そんなやつの話を即座に否定してくれるような科学界があればいいわけだな。
    そうだ思想制御には学者を手先に使おう。
    "正統科学"という錦の御旗を作らそう。
    そこには、おれたちの言うことをよく聞く学者をそろえよう。
    科学界では人間が知っても良い情報の研究だけに金を出すようにしよう。
    学者に宇宙人に関する情報はインチキだと言わせよう。
    そしてこれらの学者の言うことが本当かどうかはっきり調べられないように一般の人間の自由時間を奪おう。
    人間に自由時間を持たさせてはいかん。
    彼らに御用学者の言うことが正しいのかどうか自分自身で調べさせてはいかん。
    自分で調べる時間がなくて、どうしても御用学者の言うことだけをちらっと聞く時間しか持てないようにさせよう。
    そしたら御用学者から聞いたことを全面的に信じざるをえなくなるからな。
    まず一般人の自由時間を奪おう。
    どうやって??
    悪い宇宙人は必死に考えました。
    おお良い考えが浮かんだぞ。

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