2013年08月08日
NASA が「太陽の磁極の反転(磁場のポールシフト)」が始まったことを確認
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地球は広大な「太陽圏の電流シート」と巨大な磁場嵐に包み込まれる
太陽の磁場の逆転、つまり太陽の磁場のポールシフトに関しては、一昨年以来、「いつ起きるのだろうか」というようなことを含めて、何度か記事にしていましたが、 NASA が公式に「近い」と発表しました。
あと3ヶ月~4ヶ月くらいの間までには発生するだろうと見られているようですので、秋の終わり頃までには太陽の磁場が逆転するということになりそうです。
この太陽の磁場の逆転事態は約11年周期(今はこの周期が崩れてきていますが)の太陽活動としては正常な動きなのですが、留意したいのは、国立天文台などの観測によって、「現在の太陽磁場には異常が起きている」という可能性が高いということです。
すなわち、「太陽磁場の4極化」で、図でいえば、下の右側の「2012年の太陽」という状態となっている可能性があるということです。
上の状態について書きました過去記事は、
・奇妙な太陽のポールシフトは太陽系全体に影響を与えるか?: 国立天文台が発表した「4極化する太陽磁場」
2012年04月21日
・国立天文台が「太陽の磁場異変の進行」を確認し、その状態が過去の「小氷河期」と類似していることを発表
2013年02月05日
になりますが、今回の NASA の記事にはその「太陽の磁極の4極化」についてまったく触れられていませんでしたので、太陽の磁場の現況についてはわかりにくい面はあります。
しかし、もし仮に「太陽の4極化」が現在でも続いているというような場合、今までと同じ太陽活動周期で起きていたことと同じような「ごく普通の動きとなる」と言えるものなのかどうかは何ともいえない面がありそうな感じもしないでもない、というような感じもしないでもないです(どっちだよ)。
ちなみに、本記事には、太陽圏電流シートのような聞き慣れない言葉が出てきますが、太陽の磁場の反転の時の、地球が太陽磁場の反転で受ける「太陽圏電流シート」の影響を図で簡単に表しますと、下のような感じになるようです。
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▲ The Extinction Protocol より。
この図などから見ますと、地球は太陽の磁場の反転によって磁場と電子の影響を大きく受ける、ということになるようなのですが、それがどのくらいの期間続くのかはよくわからないですし、その影響もわかりません。
太陽活動と地球の地震や火山の噴火などとの関係についての再考
ちょっと横道に逸れますが、先月、何度か出てきました『太陽活動と景気』という著作の中で、個人的に大変に驚く記述を見かけまして、少しそのことを書いておきます。
それは、「太陽黒点の変動と連動して、地球の表面の距離自身が変動しているかもしれない」というデータです。
下の図は、フランスのパリ国際時間研究所という機関の所長が計測した「パリ・東京」、「パリ・ワシントン」間の距離(経度)のグラフです。
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上の図の意味しているところは、「パリ-東京間、そしてパリ-ワシントン間の距離が 11年周期の太陽黒点サイクルと連動して変動している」という、ちょっとにわかには信じがたいデータなのですが、これがもし本当か、あるいは再度実証できるのなら、「地球の表面の地殻は太陽活動と連動して動いている」ということが言えるかもしれなく、太陽活動と地殻異変の関係が、もしかしたら何かわかるのかもしれません。
それにしても、太陽については、その観測技術などについてはとても発達してきたわけですが、「太陽と人類の関係」についての学問についてはほぼ衰退してしまったというような感じがあります。
私は今となって「その理由」が何となくわかってきましたけれど、しかし、その根本的な理由はともかくとして、ごく一般的な理由として、「現在は、いわゆる科学者しか太陽のことを研究していない」ということがあることに、やはり『太陽活動と景気』の一節で気づかされます。
以下のような記述があります。
ちなみに、この著作を書いた嶋中雄二さんという方は、三菱UFJ証券参与・景気循環研究所長という立場にいる方です。
『太陽活動と景気』 第9章 コンドラチェフ・サイクルと太陽活動 より
今日の経済学者は、学問の細分化の影響を受けすぎたためか、経済問題を考える場合、経済変数だけか、あるいはせいぜい政治・文化・歴史・社会・技術といった周辺諸分野の知識のみで処理してしまおうとする傾向がある。
だが、 19世紀の経済学者は、けっしてそのような狭いアプローチでは満足しなかった。「経済学」( Economics )の名づけ親の一人でもあるジェヴォンズは、その半生を経済変動の周期性の研究に捧げ、ついにその原因を 11年の太陽活動周期に求めた。
いわゆる「太陽黒点説」の提唱者であり、 1870年代のことである。
何だかとても納得できます。
学問の細分化というのは、「専門」という意味では良い面もあったのかもしれないですが、科学の基本は「すべての根本はひとつ」という、エメラルド・タブレットなどにも通じる理念だと思う部分はありまして、「大局的に見る」ということは科学者であろうと、経済学者であろうと大事なことだと思います。いわゆる「学者」という肩書きのある方々は、そうであってほしいと願います。
というわけで、ちょっと横道に逸れてしまいましたが、 NASA のサイエンス・ニュースから太陽の磁場の反転についての記事です。
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The Sun's Magnetic Field is about to Flip
NASA サイエンス・ニュース (米国) 2013.08.05
太陽の磁場が反転しようとしている
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大きな何かが太陽で起ころうとしている。
米航空宇宙局(NASA)からサポートされている観測施設からの測定値によると、太陽の巨大な磁場が反転しようとしているのだ。
「太陽が完全な磁場の反転をするまで、もはや、3~4ヶ月もかからないように見えます」と、米国スタンフォード大学の太陽物理学者トッド・ホークセマ( Todd Hoeksema )博士は言う。
「この変化は太陽系全体に影響を及ぼすと思われます」。
太陽の磁場の極性の変化は、およそ 11年周期で発生する。それは、太陽の内側の磁気ダイナモを再編成する各太陽周期のピーク時に発生する。これからやって来る太陽磁場の反転は、サイクル24(第24太陽活動周期)の中間点にある。
私たちはすでに太陽活動周期の最大期の半分を過ぎた時点におり、そして、残りの半分の太陽活動最大期が控えている。
ホークセマ博士は、スタンフォード大学のウィルコックス太陽観測所( Wilcox Solar Observatory )の責任者だ。ウィルコックス太陽観測所は、太陽の極磁場を監視する世界でも数少ない観測施設となる。
地球の科学者たちが、地球の気候変動の兆候を地球の極地で観察するように、太陽物理学者たちもまた、太陽の変化の追跡に同じように極(磁極)を観測する。
ウィルコックス太陽観測所は 1976年から太陽の極磁場を追跡しており、それ以来、太陽は、太陽表面で3度の磁場の逆転を観測している。
太陽物理学者フィル・シェラー( Phil Scherrer )博士は、 「太陽の極磁場が弱くなり、そして磁場がゼロになった後、反対の極から再び磁場が出現するのです。これは、太陽活動周期の正常な動きのひとつです」と説明する。
太陽の磁場の反転は文字通りのビッグイベントだ。太陽の磁気の影響を受ける範囲を「太陽圏」とも呼ぶが、その範囲は冥王星をはるかに越え、太陽を中心とした数十キロ億メートルの範囲に広がっている。
太陽物理学者たちが、太陽の磁場の反転について語る時に、その会話の中には、しばしば「太陽圏電流シート」( heliospheric current sheet )の中心、という概念が登場する。
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太陽圏電流シートは、太陽が誘導磁場を回転させることにより電流を生じさせる、磁場の磁極が北向きから南向きに変わる太陽系の広大な面で、太陽圏内で赤道面上に広がっている。
そこには1平方メートル 0.0000000001アンペアの電流が流れている。弱い電流ではあるが、これが1万キロメートルの厚さで、数十億キロメートルという広大な範囲に広がっている。
太陽圏は、この巨大なシートを中心に構成されている。
磁場の反転時には、太陽圏電流シートは波状となり、私たちの地球もこの電流シートの中に浸されることになる。そして、別の面からの移動は、私たちの地球の周囲に宇宙嵐(磁気嵐)を引き起こす可能性がある。
磁場の反転は宇宙線にも影響を与える。
宇宙線は、銀河で超新星爆発やその他の激しい出来事によって、ほぼ光速に加速した高エネルギー粒子だ。宇宙線は、宇宙飛行士や宇宙探査の中で危険な存在であり、一部の研究者の中には、宇宙線が地球の雲の生成や地球の気候にまで影響を与える可能性があると言う人々もいる。
太陽圏電流シートは、宇宙線が太陽系の内側に侵入しようとした際に宇宙線の方向を曲げ、宇宙線に対するバリアとして機能する。電流シートは、深宇宙からやって来るこれらの高エネルギー粒子に対しての楯として機能する。
磁場の反転が近づくと、太陽の南と北の二つの半球のシンクロ(同調)が崩れることを、ウィルコックス太陽観測所のデータは示す。
「太陽の北極がすでに磁場の反転の兆候を見せ始めている時には、まだ南極は反転の兆候を見せておらず、後に追いついてくるのです」とシェラー博士は言う。「しかし、すぐに両方の極が反転を始めます」。
太陽の磁場の反転が始まった時には、ホークセマ博士とシェラー博士、そして研究チームは、一般にそのニュースを公開し、共有することになるという。
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